昨今話題の本のご紹介です。

こんにちは、4月から久留米校のチーフチューターを務めさせていただく鹿野です。

昨今話題の本のご紹介です。新井紀子著「AI vs. 教科書の読めない子どもたち」は、第1部ではAIが人間の能力を超えることはないと論証し、第2部では、筆者たちが実施するリーディングスキルテスト(RST)の結果から、少なからぬ小学生~高校生が教科書を読めていないことを示します。

ビッグデータとディープラーニングにより第3次AIブームを迎えている現在。囲碁名人にAIが勝ったニュースは大きく報道され、コンピュータに支配される人間というSFじみた未来に暗鬱とした気分になった人もいるかもしれません。なぜAIは人間を超えることはないのでしょうか。それは、AIは計算機であって、数学すなわち論理、確率、統計以外のことはできないからです。AIは意味を理解しません。意味を理解するとは、たとえば次のような問題に正しく答えられることです。

ある中学校の3年生の生徒100人の身長を測り、その平均を計算すると163.5cmとなりました。この結果から確実に正しいと言えるのは、次のうちどれでしょう。

➀身長が163.5cmよりも高い生徒と低い生徒は、それぞれ50人ずついる。

➁100人の生徒全員の身長をたすと、163.5cm×100=16350cmになる。

③身長を10cmごとに「130cm以上で140cm未満の生徒」「140cm以上で150cm未満の生徒」…というように区分けすると、「160cm~170cm未満の生徒」が最も多い。

正解は➁です。しかし、「平均の計算はできるが平均の意味はわからない」のは、AIに限ったことではありませんでした。RSTは教科書や新聞が題材に選ばれているのですが、中学地理から選ばれた次の問題の正答率は、進学率100%の高校でもようやく70%を超える程度だったのです。(ちなみに筆者たちの開発した東ロボ君もこの問題に正解しています。AIは、自然言語処理の係り受け・照応関係は正しく回答できますが、同義文の判定は困難、推論・イメージ同定・具体例同定は不可能と言われています。同義文の判定ができれば、2020年から始まる大学入学共通テストの国語の記述問題もAIが採点できるとのことです。)

次の文を読みなさい。

仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アメリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている。

 この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうち


オセアニアに広がっているのは(   )である。
①ヒンドゥー教
②キリスト教
③イスラム教
④仏教

こちらも正解は②です。筆者によると、RSTの結果と学習習慣、たとえば家庭教師をつけているかどうかは何の相関もなかったそうです。なので、家庭教師が読解力改善の唯一の解決策だと主張するつもりはありません。ただ、理解をともなわないまま間違った問題だけを反復させるデジタル・ドリルでは、結局子どもをロボット化しているだけです。お子様と同じ目線に立ち、成熟に合わせて理解をうながし、ともに未来を構築していく。そんなパートナーが必要とされている時代ではないでしょうか。

ホワイトカラーの仕事の多くをAIが奪う将来においては、「ほぼ日」のような「何の仕事とはっきりは言えないけれども、人間らしい仕事」に希望はあるそうです。もちろん志望校合格や成績向上は私たちにとって大事なミッションではあります。しかし、指導要領や数値に過度に縛られることなく、ご家庭の教育方針とお子様の反応のみを導きの糸とする家庭教師は、きわめて柔軟な教育手段と言えるでしょう。これからも機械学習とは異なるお子様の「学び」に関心を向け、人間にできることを追求していきたいと思います。もちろん「中学卒業までに教科書は読めるようにさせたい」という声にもお応えしています。

写真は、筑後川昇開橋です。筑後川は私が久留米で大好きな場所の一つです。

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